マウス開発研究室
(Mouse Genomics Resource Laboratory)


ゲノム編集とゲノムヒト化動物
  ゲノム編集技術の登場により、簡単かつ効率的に生物の遺伝子を操作することができるようになりました。私たちは、ゲノム編集技術のひとつであるCRISPR/Cas9をマウス受精卵に利用することで、効率的な新規遺伝子改変技術の開発、新しいモデル動物の作製を行っています。特に、マウスのゲノムをヒト特異的DNA配列に置き換えたゲノムヒト化マウスの作製を中心的に行っています。
CRISPR/Cas9を用いた遺伝子改変動物の作製
  CRISPR/Cas9技術は一本鎖のガイドRNA(gRNA)がゲノム上の標的配列20塩基を認識・結合し、Cas9ヌクレアーゼを誘導することで、標的配列に二本鎖切断が引き起こされます。この修復過程でノックアウトが、また相同配列を持つドナーDNAを同時に導入することでノックインが導入できます。 これまで、マウスやラットを対象にCRISPR/Cas9を用いて様々なパターンのゲノム編集に取り組んできました。
現在も、単純な遺伝子のノックアウトに加えて、SNPやCNVなどの置換、GFP等の標識マーカーの導入、大規模ゲノム領域の欠失、といった様々なノックイン動物の作製に取り組んでいます。加えて、ゲノム編集技術の導入プロトコルを改良することで、自由自在に遺伝子改変動物を作製できることを目指しています。

 

ゲノムヒト化動物
  ゲノムヒト化動物は、動物の遺伝子やDNA領域をヒトの配列に置き換えることで、ヒトの遺伝子を発現したり、ヒト体内の遺伝子発現を模倣した動物モデルのことです。免疫不全動物にヒトの細胞・臓器を移植したヒト化動物とは異なり、ゲノム編集技術を使って宿主内で特定のゲノム領域を切り貼りするだけで、ゲノムヒト化動物は作製することができます。
   ヒトは、進化の過程で導入された様々な遺伝子や発現調節領域の変化により、知能の発達・大脳化を獲得したと考えられています。現在、バイオインフォマティクス的手法によって知能の発達・大脳化に関連する遺伝子・非コード領域を絞り込み、ゲノムヒト化動物を作製・解析しています。こうした研究により、脳の進化に関連するゲノム領域を同定し、その機能を解明することで、ヒトの知能行動や進化に大きな影響を与えた遺伝的基盤の解明につなげたいと考えています。

 

遺伝子改変マウスの作製リクエスト 
  大学、企業等機関との共同研究により、これまでに複数の遺伝子改変マウスを作製しております。様々な形で対応できますので、まずはお気軽に吉見(kyoshimi @ nig.ac.jp)までご相談ください。


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参考資料

ssODN-mediated knock-in with CRISPR-Cas for large genomic regions in zygotes,  Nature Communications, 7, 10431, 2016
Yoshimi K, Kunihiro Y, Kaneko T, Nagahora H, Voigt B, Mashimo T.

Allele-specific genome editing and correction of disease-associated phenotypes in rats using the CRISPR–Cas platform, Nature Communications, 5:4240, 2014
Yoshimi K, Kaneko T, Voigt B, Mashimo T

CRISPR/Cas9 システムを用いた自由自在なゲノム編集、進化するゲノム編集技術(真下知士、城石俊彦 監修)、103-111、2015
吉見一人、真下知士

ラットにおけるゲノム編集技術革命(ノックアウト・ノックインラットが爆発的に増える!)、実験医学 2014年7月号 Vol.32 No.11 P1715-1720
吉見一人、金子武人、真下知士

ラットにおけるTALENおよびCRISPR/Cas9を用いた遺伝子改変、実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ 今すぐ始めるゲノム編集 2014年4月 P109-119
吉見一人、金子武人、真下知士